院内SEとは？仕事内容・役割・年収まで徹底解説【未経験でも目指せる？】

IT業界でキャリアアップを目指す人にとって、院内SEは魅力的な選択肢の1つです。業務内容や求められるスキルに魅力を感じても、具体的な仕事内容については知らない人が多くいます。この記事では、院内SEの基本情報や仕事内容、年収、必要な資格やスキルなどを詳しく解説します。

院内SEの基礎知識

院内SEの基礎知識として以下の3つを解説します。

院内SEとは病院に勤務するシステムエンジニア

院内SEとは、病院でITシステムを管理・運用するシステムエンジニアです。医療情報システムの保守・管理や電子カルテのサポートなどの役割を担います。患者データの管理や、情報セキュリティを確保するのに欠かせない存在です。病院スタッフとの連携も求められます。

院内SEは、患者の命に関わる重要な仕事を支える職業で、高い責任感と専門知識が求められます。人の役に立つことを実感しやすい仕事です。

院内SEの役割

院内SEは、病院のIT環境を支える重要な職種です。以下の業務を担当します。

院内SEの重要性

院内SEは、医療機関のIT化推進や医療サービスの質向上を支える重要な役割を担っています。医療情報システムの安定運用と患者データの管理により、医療従事者の業務効率化を支える存在です。セキュリティ対策の強化のためにも欠かせません。

院内SEの仕事内容

院内SEの主な仕事内容は、以下のとおりです。

システムの保守・管理

システムの保守・管理は院内SEの重要な業務です。病院内のシステムを安定運用し、効率的な医療サービスを支える役割を担っています。具体的な業務内容は以下のとおりです。

新技術やソリューションの評価・導入も担当し、医療技術の進歩に合わせてシステムを進化させています。院内SEは、病院の運営を支え、医療サービスの質向上に欠かせない存在です。

ネットワークの管理

ネットワーク管理は院内SEの重要な業務の1つです。病院内システムを安全かつ効率的に運用するため、以下の業務を担当します。

最新技術を把握し、病院のニーズに合った最適なネットワーク環境を提供します。

ヘルプデスク業務

ヘルプデスク業務は院内SEの重要な役割です。ユーザーからの問い合わせ対応やシステム、ソフトウェアの使用方法の説明を行います。トラブル発生時には問題を切り分け、解決策を提案します。業務内容は以下のとおりです。

医療機器のサポート

医療機器のサポートは院内SEの重要な業務です。医療機器の操作サポートや設定、ソフトウェアアップデート、トラブルシューティングを行います。新規導入時の設置やネットワーク接続管理も担当します。医療機器の操作サポートや設定、ソフトウェアアップデート、トラブルシューティングも重要な業務です。

新規導入時の設置やネットワーク接続管理も担当します。患者の命に直結する機器を扱うため、責任の重い仕事です。

院内SEの年収

院内SEの年収について以下の3つを解説します。

平均年収

院内SEの平均年収は、450〜550万円です。経験年数や役職により300〜800万円以上と幅があります。年収に影響を与える主な要因は、以下のとおりです。

院内SEの年収はIT業界より低めですが、医療分野で専門性を発揮できる職種です。

地域による違い

院内SEの年収は地域によって差があります。東京や大阪などの大都市圏では、平均年収が高い傾向です。地方都市では年収が低めですが、その分生活費が抑えられる場合もあります。北海道や沖縄などの地域では、年収は他の地域と比べて低い傾向です。同じ地域内でも、都市部と郊外で年収に違いが生じる場合があります。

病院の規模による違い

病院の規模によって、院内SEの年収や業務内容は異なります。500床以上の大規模病院では、年収は600～800万円と高めです。システムが複雑で責任も重いため、年収に反映されています。200～499床の中規模病院では、年収500～700万円が一般的です。比較的安定した収入を得られる特徴があります。

病院の経営状況や業績が年収に影響を与える場合もあります。自分に合った規模の病院を選び、適した環境でスキルを生かしましょう。

院内SEに必要な資格

院内SEに必要な資格は以下のとおりです。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IT業界で働くうえで基本的な知識を問う国家試験です。基本情報技術者試験に合格するメリットは、以下のとおりです。

試験は年2回実施され、誰でも受験が可能です。試験時間は190分で、テクノロジーやマネジメント、ストラテジーの3分野から出題されます。合格基準は正答率60%以上です。試験対策として専門書や問題集、オンライン講座を活用しましょう。しっかり準備すれば、合格率約25%の壁を越えられます。

≫ 基本情報技術者試験とは？試験概要や難易度・勉強法を徹底解説！
» 社内SEとは？仕事内容と向いている人の特徴

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティのプロフェッショナルを認定する国家資格です。取得すれば、高度な専門性を証明できるため、セキュリティ関連の仕事で優遇される可能性があります。試験は年に2回、春と秋に実施され、合格率は約20%と難易度が高い資格です。合格すれば年収アップや転職に有利になります。

技術の進歩に対応し、継続的な学びの重要性を示す資格です。企業のセキュリティ体制を強化するために役立ち、院内SEとしても重宝されます。

医療情報技師能力検定試験

医療情報技師能力検定試験は、医療機関の情報システムを扱う専門家を認定する試験です。合格すれば、院内SEとしての能力を証明できます。試験は日本医療情報学会が主催し、年に1回実施されます。受験資格はなく、誰でも受験が可能です。試験は、医療情報学や医学・医療、情報技術の3分野から出題されます。

医療情報技師能力検定試験は、院内SEにとって有用な資格です。合格すれば、医療現場とIT技術をつなぐ橋渡し役としての活躍が期待されます。医療機関での情報システム管理に携わりたい人には、挑戦する価値があります。

院内SEに求められるスキル

院内SEに求められる主なスキルは、以下のとおりです。

ITスキル

院内SEとして働くには、幅広いITスキルが必要です。病院システムの効率的な管理や医療サービスの質の向上に欠かせません。具体的には、以下のITスキルが重要です。

医療分野特有のITスキルとして、医療情報システムへの理解が求められます。医療情報システムには、電子カルテやオーダリングシステムが含まれます。医療機器インターフェースやDICOM規格、HL7規格の知識も必要です。医療情報の標準化への知見も欠かせません。特にSS-MIX2の知識が重要です。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、院内SEにとって重要なスキルです。患者や医療スタッフとの円滑なやりとりが、業務の成功に直結します。技術的な内容をわかりやすく説明する力や、チーム内での情報共有能力が求められます。緊急時の冷静な対応力や異なる部門との連携力、患者のプライバシーに配慮した会話力も重要です。

努力を積み重ねれば、院内SEとしての業務がよりスムーズに進められます。

医療に関する専門知識

医療に関する専門知識は、院内SEにとって重要です。電子カルテシステムや医療機器の基本的な仕組みを理解すれば、効果的なサポートが可能です。具体的には、以下の知識が必要とされます。

知識を身に付ければ、医療スタッフとのコミュニケーションがスムーズになり、システムの改善提案も可能です。医療の専門知識は広範囲のため、すべてを完璧に理解する必要はありません。基本的な医療用語や医療機器の仕組みを押さえるだけでも、仕事の効率は大きく向上します。

院内SEとして働くメリット

院内SEとして働くメリットには、以下の2つがあります。

ワークライフバランスが取りやすい

院内SEは一般的な企業のSEに比べ、仕事と私生活のバランスを取りやすい点が魅力です。定時に退社でき、休日出勤も減らせます。土日祝日が休みの場合が多く、夜勤や当直がほとんどないのもメリットです。緊急時以外の呼び出しが少なく、プライベートの時間を確保できます。

人の役に立っている実感を得やすい

院内SEの魅力は、医療現場で働く中で、人々の健康や命に貢献していると実感しやすい点です。患者の診療や治療を支えるシステムの運用や、医療従事者の業務効率化を通じて患者ケアに貢献できます。病院全体の運営改善や医療の質向上、安全性の確保にも寄与します。

院内SEとして働くデメリット

院内SEとして働くデメリットは以下のとおりです。

最新技術に触れる機会が少なくなる

院内SEの仕事は、最新技術に触れる機会が限られます。病院のシステムは安定性が重視され、新技術の導入が遅れる傾向です。医療分野特有の技術が重視される背景が影響しています。病院システムの更新頻度が低く、外部のIT企業や技術コミュニティとの交流も限られます。

命に関わる責任感が大きい

院内SEは、患者の命に関わる重要な存在です。システムの安定稼働や医療データの適切な管理は、患者の安全と健康に直結するため、高い責任が求められます。業務内容には、医療システムの障害対応や患者データの厳重な管理、医療機器の正確な動作確認などが含まれます。

誤解が生じると、患者の命に関わる事態を招く可能性があります。ただし、院内SEは責任の重さと同時に、大きなやりがいを感じられる仕事です。自分の業務が人々の健康と命を直接支えていると実感できる点は、院内SEならではの魅力です。

院内SEに向いている人の特徴

院内SEに向いている人の特徴として、以下が挙げられます。

パソコンが得意な人

パソコンが得意な人は、院内SEとして活躍できる可能性があります。パソコンスキルは院内SEの基本です。具体的には、以下のスキルが求められます。

パソコンのスキルがあれば、院内のシステム管理やユーザーサポートを円滑に行えます。医療現場の特性を理解し、円滑にコミュニケーションをとる能力も必要です。医療分野の知識を学び続ける姿勢も欠かせません。

コミュニケーションが苦にならない人

コミュニケーションが得意な人は、院内SEとして活躍する可能性があります。院内SEの仕事では、さまざまな人とのやり取りが必要です。医療スタッフとの対話や患者への説明、技術的な内容をわかりやすく伝える場面でコミュニケーション能力が求められます。自然にこなせる人は、業務をスムーズに進めることが可能です。

フットワークが軽い人

フットワークが軽い人は、院内SEとして活躍できる可能性があります。院内SEの仕事では、迅速な対応と柔軟性が必要です。以下の特徴を持つ人が向いています。

予期せぬトラブルにも冷静に対応し、状況に応じて優先順位を判断する能力も必要です。フットワークが軽い人は、院内SEの仕事に適した特徴を多く備えています。

ITに興味がある人

院内SEに向いているのは、ITに興味がある人です。院内SEは、ITスキルを生かして医療現場を支えます。新しい技術やトレンドを追いかけられる人や、プログラミングやシステム開発に取り組める人が最適です。デジタル機器やソフトウェアを操作できたり、IT関連の情報を積極的に集められたりする人も重宝されます。

医療現場で働くことに興味がある人

院内SEに向いているのは、医療現場で働くことに興味がある人です。医療と技術の融合に貢献したい思いを持つ人にとって、理想的な選択肢です。以下の特徴を持つ人が向いています。

院内SEは、ITを活用して医療現場の課題を解決し、医療の質の向上に貢献する重要な役割です。医療機器のサポートや、患者の治療に役立つシステム構築に取り組む機会もあります。患者の命に関わる仕事であるため、慎重さと正確さが求められます。責任は大きいものの、人の役に立つ実感を得られるやりがいのある職業です。

院内SEになる方法

院内SEになる方法について、以下の3パターンに分けて詳しく解説します。

大学卒業後に就職する

大学卒業後に院内SEを目指すには、情報系学部や工学部を卒業すると有利です。就職活動では、病院やヘルスケア関連企業に注目しましょう。インターンシップへの参加や資格取得、医療情報システムの学習が役立ちます。病院の採用情報を確認し、積極的に応募しましょう。

独学で資格を取得する

独学で資格を取得する方法は、院内SEを目指すのに有効な手段です。最初は、IT業界の入門資格として広く知られる基本情報技術者試験に挑戦しましょう。独学で資格を取得するには、以下の方法が効果的です。

基本情報技術者試験に合格した後は、情報処理安全確保支援士試験や医療情報技師能力検定試験への挑戦も良い選択です。資格取得だけでなく、実践的なスキルの習得も求められます。専門用語や医療知識を学び、病院情報システムやネットワーク、セキュリティの基礎を習得すると効果的です。

資格取得後は、院内SEの求人に応募すればキャリアをスタートできます。独学には時間と努力が必要ですが、自分のスキルを確実に高める方法として有効です。
≫ 基本情報技術者試験とは？試験概要や難易度・勉強法を徹底解説！
» システム運用の業務内容と必要なスキルを解説

ITエンジニア派遣企業で研修を受ける

ITエンジニア派遣企業での研修は、院内SEを目指す効果的な手段です。派遣企業の専門的な研修プログラムを通じて、必要なスキルや知識を習得できます。研修内容は以下のとおりです。

一部の派遣企業ではキャリアアドバイザーのサポートが受けられたり、正社員へ転換するチャンスがあったりもします。

院内SEに関するよくある疑問

院内SEに関するよくある疑問を以下にまとめたので、参考にしてください。

院内SEの服装は？

院内SEの服装は、ビジネスカジュアルが一般的です。スーツやシャツ、スラックスが多く、病院によっては白衣を着用する場合もあります。清潔感を保ち、動きやすさを意識した服装が求められます。病院の規定に従い、他のスタッフと統一感のある服装を心がけましょう。

院内SEの休みは？

院内SEは土日祝日が多く、年間休日数は約120日が目安です。病院の規模や方針によりますが、平日に休みを取れる場合が多く、有給休暇も取得しやすい環境です。夏季休暇や年末年始休暇が取得できる病院もあります。プライベートの予定を立てやすい点が魅力です。

院内SEに夜勤はある？

院内SEには、夜勤は基本的にありません。通常は日勤のみですが、緊急時や特別な状況では深夜対応が求められる場合があります。夜間作業が発生するのは、以下のケースです。

夜勤の有無は、病院の規模や方針によって異なります。大規模病院では、夜間専門のSEチームが配置される場合があります。中小規模の病院では、夜間対応を外部委託するのが一般的です。夜間対応が必要な場合には勤務時間外手当が支給され、交代制や当番制で対応します。

院内SEは未経験でも挑戦できる？

院内SEは、未経験でも挑戦できます。ただし、基本的なITスキルが必要です。一部の医療機関では、未経験者向けの研修プログラムを提供しています。未経験から院内SEを目指すには、独学でITスキルを習得し、資格取得を目指す方法もおすすめです。

未経験からのスタートは難しい部分もありますが、努力次第で実現は可能です。未経験者向けには、段階的な研修プログラムやメンター制度、資格取得支援などを提供する医療機関もあります。サポートを活用すれば、効率的にスキルアップができ、キャリアアップの道も広がります。

まとめ

院内SEへの転職は、IT業界でキャリアを積みたい人にとって魅力的な選択肢です。院内SEは、病院内のIT環境を支える重要な役割を担っています。システム管理やユーザーサポートなどの幅広い業務をこなすため、やりがいのある仕事です。一方で責任も伴うため、挑戦には覚悟が必要です。

» 社内SEに転職するために必要なスキルとメリット・デメリット
» 具体的な転職活動の進め方と成功のポイント！