転職活動におけるシステムエンジニア・社内SEの企業研究は何する?やり方や調査内容を解説!
2025.05.16更新

- 転職活動をしている社内SEの企業研究って目的は何か?
- 転職活動をしている社内SEの企業研究では、情報ソースは何で、面接までになにを準備するのか?
転職活動において、企業研究は非常に重要なステップです。特に社内SEにとって、企業研究を行うことで、志望する企業が自分に合っているかどうかを判断し、選考を有利に進めることができます。
この記事では、企業研究のゴールや必要性、具体的な調査方法、情報ソースについて詳しく解説します。
この記事を読むことで、結果的に面接時にミスマッチと判断されるリスクを回避し、面接官からいい評価を得ることができます。将来的には入社後の仕事満足度向上にも貢献します。
企業研究の目的と具体的な調査

企業研究の目的は、企業とご自身相互のミスマッチを防ぎ、いい評価をもらうことです。
目的は企業とご自身相互のミスマッチを防ぎ、面接での評価を上げること
企業研究の目的は面接のときに応募企業の面接官からミスマッチ評価を受けず、「事前に調べている」「当社でマッチしている」という評価を得ることです。面接官から高評価を得るために以下の二つを実施する必要があります。
- 応募企業に対して自分で貢献できるスキル・経験があること
- 自分が会社に求める条件を満たしていることを確認する
応募企業に対して貢献できるスキル・経験があること
応募企業の情報を調査し、応募先企業の人材ニーズを深く理解し、自分にスキル提供ができることが分かれば、応募企業側がご自身を採用する理由が明確になります。応募企業のニーズに合わせて、自分のアピール内容をそろえていけば、選考を有利に進めることができます。
会社に求める条件を満たしていること
ご自身が会社に求めるところは人によりさまざまです。仕事の成長環境、裁量権の多さ、家賃補助、残業時間の低さなどあると思います。多くて決められないなら、ポイントは2つです。「現在の会社で改善してほしいところ」「現在の会社のいいところ」という両方を次の企業で得られるようにしてください。
自己分析・退職分析で企業分析を効率化

自己分析・退職分析は、転職活動において非常に重要なプロセスです。これらを通じて、次の職場で何を求めるべきかを明確にし、企業側のどこを調べるかを明確にできます。
他のシステムエンジニアにできない自分の強みは何か?
企業分析を行う前に、自己分析が重要です。システムエンジニアとして、他のエンジニアにはない自分の強みを特定することで、企業選びや企業情報取得がスムーズになります。
自分の強みを決める際には、業務改善やERP導入、BI導入といったよくあるキーワードを使うと情報を探しやすいです。これらのキーワードを使うことで、Google 検索に引っかかりやすくなったり、転職エージェントに伝わりやすくなります。
なぜ現在の会社を辞めることになったのか?
現在の会社を辞める理由を分析することで、自分自身の不満点を、面接官に説明できるレベルに言語化してください。例えば、給与が低い、社内の雰囲気が悪い、キャリアアップの機会がないなどの理由が挙げられます。これらの理由を客観的に見つめ直すことで、次の職場で何を求めるべきかを明確にできます。
退職理由を分析することで、面接での転職理由の説明がより信頼度が上がります。面接官は、現職の退職理由を聞くことで、自社での将来的な離職リスクを評価します。退職理由を説明できれば、面接官への印象は上がります。
次の会社に必要なことは何か?

ご自身の中で、次の会社で何を求めるかを明確にすることで、何を調べればいいのかが明確になります。
「現在の会社で改善してほしいところ」「現在の会社のいいところ」の両取り
転職の際には、「現在の会社で改善してほしいところ」「現在の会社のいいところ」の両取りができるようにしてください。
- 「現在の会社で改善してほしいところ」
- たとえば、会社の人事評価制度が良くなくて、実績を出した優秀な人が評価されず、実力のないゴマすりをする人が昇進することがストレスとします。だとしたら、次の会社には「実力主義の人事評価制度」が必要です。
他の例なら、給与が低いのがストレスなら、次の会社には「給与増加」もしくは「給与は若干増加、家賃補助がある会社で所得を大きく増やしたい」が必要です。
- 「現在の会社のいいところ」
- 意外に忘れがちなのはこの点です。大手企業に勤める営業職の人が早く昇進して管理職に成りたいが、管理職に成れないという人がいたとします。そこで裁量権の多いベンチャー企業に行く、というのはよくある例です。ですがベンチャー企業は事務的な作業の量が大手より多いです。結果、裁量権は増えたとしても大手の時よりも残業が増えてしまってつらくなったというのもよくある話です。
次の転職先では必ず、「現在の会社で改善してほしいところ」「現在の会社のいいところ」の両取りができるように企業の求人票、Openworkなどを含め調査をしましょう!
自分で調査し、面接時の質問は仕事の質問のみ
調べるのが大変だから「面接時になんでも聞いてしまえばいい」はお勧めできません。
というのも、会社によっては面接における福利厚生・研修内容・事前にウェブサイトを調査すればわかるような質問をする人を準備不足としてNGにする会社もあります。
そのため、安易に面接官に質問することは辞め、自分で事前に調べましょう。応募する人にとって見れば、給与と同じくらい家賃補助はご自身の所得にも影響します。また、ワークライフバランスを重視して、家族の時間を作りたいという人には平均残業時間は重要です。
仕事環境や成長環境といった内容であれば、面接官に聞いてもいい内容ですので、そちらは面接時の質問に回しましょう。
自分の強み・退職理由・次の会社に求めることをつなげる
例えば、以下のような例で、自分の強み・退職理由・次の会社に求めることをつなげてみましょう。調査の際に意識しておくことで、面接の際にはスムーズに説明ができるようになります。
- SAP ERP導入エンジニアの例
- SAP ERP導入エンジニアを10年経験していたが、現職ではERP導入が予算の都合上停止した。ERP導入をスキルを高めたいため、ERP導入を現在進めている会社で働きたい。
- システム企画・業務企画の例
- ITコンサルタントを過去に経験して、業務改善の企画スキルがある。ただ、現職では保守運用サポートの部署に配属されているため業務企画をしない。業務企画フェーズが担当できる会社へ転職したい
他にも、技術的な成長可能性、ワークライフバランスなどが挙げられます。これらの要素を考慮することで、自分に合った企業を見つけやすくなります。
企業研究で把握すべきポイント

企業研究では、以下のポイントを把握することが重要です。
- 業界調査
- 3C分析の手法で会社の困っているところを探す
- 企業研究の適切なタイミング
業界調査
業界調査は、企業がどのような市場で活動しているかを理解するために重要です。業界全体の動向や成長率を把握することで、企業の将来性を評価できます。(※業界調査の目安は1時間以内です)
業界調査を行うことで、企業がどのような競争環境に立たされているかを理解し、応募企業の独自を発見することができます。また、業界全体のトレンドや新しい技術の動向を把握することで、企業の戦略を理解できます。
» 転職活動に効果的!業界研究のやり方と注意点
志望理由を作成する点で言うと、業界調査をしておくと業界の中で志望企業はどういう強みと良さがあるかが明確になります。この点を調べておけば、面接時に好印象を与えられます。
3C分析の手法で会社の困っているところを探す
3Cアプローチは、企業分析の手法の一つで、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(企業)の3要素が関連していることを理解する情報整理方法です。
どんな競合がいて(Competitor(競合))どんな顧客にどのようなサービスを提供するから(Customer(顧客))、企業内にはどんなリソース・情報システムが必要なのか(Company(企業))を関連性をもとに理解することです。
もっとも重要なことは、応募予定の会社がどんなことに困っているかを調べることです。例えば、中堅企業ならよくあるSAP HANAの高額なアップグレード費用・固定費に困っている、システムは全社的に整備されているがデータの統計分析に困っているなどです。
仮にSAPの高額コストに困っていれば、国産パッケージの導入スキルは会社にとっては必要な人材ですし、統計データの扱いに困っている会社であれば、データサイエンティストの初期的な資格を持っているDBエンジニアは歓迎のはずです。
社内SEを目指す人ならざっくりとでいいので、3C分析をしてどのようなシステムが社内にあるべきなのか、どこら辺に困りそうか?を推定し、調査ましょう。面接官に「当社について興味がある」「志望度が低く何も調べていない人ではない」とアピールができます。
企業研究の適切なタイミング
企業研究を行うタイミングとしては、書類選考通過後が最適です。転職時はとにかくに気になった会社があれば全部応募をして、書類選考結果を待ちましょう。書類選考通過後に企業研究を行うことで、無駄な時間を削ることができます。
企業研究に利用する情報ソース

企業研究を行う際には、以下の情報ソースを活用すると理解が早まります。
- 公式ウェブサイトのニュースリリース
- 公式ウェブサイトのIR資料ー中期経営計画におけるIT戦略(上場企業向け)
- 公式ウェブサイトの新卒・中途採用ページ
- システムベンダーの導入事例
- 転職サイトを利用する
- 転職エージェントに相談・求人票の活用
- 入社している知人にヒアリングする
- 企業のレビューサイト(OpenWork、エンゲージ)を参考にする
公式ウェブサイトのニュースリリース

公式ウェブサイトのニュースリリースをチェックすることで、企業の最新の動向やプロジェクトについての情報を得ることができます。ニュースリリースには、企業の新製品やサービス発表、社長のメッセージ・システム導入情報などが含まれています。これらを通じて、企業のビジョンや戦略を把握できます。
システムエンジニアに有益な情報は、例えば、「基幹システム変更のお知らせ」です。社内SEを目指す人なら、いつ導入したのか?をチェックしましょう。「導入が7~10年前なら新システム切替の時期だな・・・」「(ご自身にシステム導入経験があるなら)ベンダーでの経験をもとに基幹システムを企画し、導入経験をアピールできる」という話のネタになりえます。
公式ウェブサイトのIR資料ー中期経営計画におけるIT戦略(上場企業向け)

上場企業のIR資料には、売上高や営業利益などの財務情報や中期経営計画が含まれています。特に経営計画の中のITに関する記載です。これを参考にすることで、社内SEとしての情報を入手しましょう。
旭化成はDXに非常に力を入れている会社です。大抵上場のIR情報には経営計画が掲載されていることが多いです。そして、ITに力を入れている会社ならば、IT戦略が経営計画の中に書かれています。経営計画の中にITに関する記載が無ければ、経営者がITを軽視しているというサインにもなり得ます。
経営戦略・DX戦略に書かれている内容からアピールできる経験を選ぶ

旭化成のDX戦略資料を読むと、システムから集めたデータを分析するデータサイエンティストが必要と判断できます。派生して、データベース関係をメンテナンスできるエンジニアも含まれていると推測できます。
応募する側のシステムエンジニアとしては、データベースの構築、論理設計経験、BIシステムの導入経験、データサイエンティストとしてのデータ解析の経験があると、面接ではマッチすると言えます。
準備段階で、経営計画・DX戦略の中で、企業が求めているIT人材を理解し、自分がその人材であることを説明できるレベルにしておきましょう。
公式ウェブサイトの新卒・中途採用ページ

公式ウェブサイトの新卒・中途採用ページは、企業の求人内容や大切にしている価値観を理解するのに役立ちます。
社員インタビューには、その会社の求める典型的な人物が選ばれます。たとえば不動産会社では、社員インタビューにはハードワークにも耐え、高い報酬をめざすギラギラした感じの方が積極的に選ばれています。企業が大切にしている人物・採用したい人がわかりやすく書いてあります。
利用方法としては、ご自身の性格や長所・短所について嘘はつかずに言い換えのレベルで、社員インタビューの人物像に合わせることができれば、面接では問題ないはずです。
システムベンダーの導入事例

システムベンダーの中には、「導入事例」として、企業の導入事例を掲載しているケースがあります。志望している企業名でGoogle 検索をかけ、導入事例が出てくれば情報収集しましょう。
例えば、導入から5年以上たっていれば「導入事例を拝見し、これまでの経験から、新システムの企画を提案できます」というアピールをすることができます。
転職サイトを利用する

転職サイトは、企業の求人情報を一目で確認できる便利なツールです。特に福利厚生などの記載が多めに書かれています。転職サイトを通じて、企業の求人内容や社員の評価を確認できます。これにより、企業の求めるスキルや価値観を理解しやすくなります。
転職エージェントに相談・求人票の活用

企業の情報を得るには転職エージェントや求人票を活用する方法があります。
大手のエージェントと少数精鋭のエージェント
転職エージェントは、企業の内部情報や未公開の求人情報を提供してくれることがあります。特に、IT業界に強いエージェントは、企業の内部情報に詳しく、自分に合った職場を見つける手助けをしてくれます。
大手の転職エージェントには情報量はとても多いですが転職コンサルタントに対して時間がかけられないこともあります。あまり知られていないものの、サポートが手厚い少数精鋭のエージェントもあります。「ITに特化」「伴走型キャリア支援サービス」など、独自の強みを持っている転職エージェントを一社利用すると内部情報に詳しく、個別対応で時間を使って考えてくれる会社もあります。
最近では、転職エージェントサービスだけでなくスキルアップが可能な研修事業も行いよりサポート力を上げている会社もあるので、大手エージェントと一緒に活用してみてください。キャリアカンパニーなどはIT業界専門のコンサルタント事業とスクールも併設する会社です。
求人票の活用
転職エージェントが作成している求人票は、求人を出している企業が作成しているわけではなく、転職エージェントによる作成です。転職エージェントによっては非公開情報が含まれており、調査がしやすいです。大手の転職エージェントの求人情報の中には、「求人募集の背景として~人材が不足している」という情報が書かれています。こういったニーズに応募者が答えられれば、ミスマッチが防げます。
また、エージェントは自分のキャリア目標やスキル、今回の退職理由を理解し、最適な転職先を提案してくれることがあります。
入社している知人にヒアリングする

入社している知人にヒアリングすることで、企業の内部情報や社風を直接聞くことができます。結構難易度が高い調査方法とはいえ、職場のリアルな情報が、信頼性の高い情報として得られます。
特に、「情報システム部社員の採用の際には、必ず情報システム部の部長が参加する」「部長の性格は~で、XXXという点を気にする人だ」という情報が得られると、強力な面接対策になります。
企業のレビューサイト(OpenWork、エンゲージ)を参考にする

オンラインレビューサイトは、企業の評判や社員の声を集めた情報を提供しています。これを参考にすることで、企業の雰囲気や社員満足度を把握できます。
口コミの信頼性は?
すべての口コミが信頼できるわけではありません。ですが、筆者の過去の在籍した会社のレビューを見てみても、1,2人のレビューではなく、10~15人のレビューをまとめて勘案すると、実際の社風とレビューが概ね合っているという印象です。
- OpenWork
- OpenWorkは、企業の現役社員や元社員が投稿した口コミを閲覧できる国内最大級のサイトです。給与や残業時間、職場環境などリアルな情報が豊富で、口コミ数は1,000万件以上と圧倒的な規模を誇ります。
厳正な審査を通過した信頼性の高い情報が特徴で、転職や就職活動時に企業の実態を把握するための強力なツールです。特に給与や働きがいに関するデータは詳細です。なお、以下に解説するエンゲージ(旧ライトハウス)よりも、自由な書き込みは少ないです。 - エンゲージ
- エンゲージ(旧ライトハウス)は、エン・ジャパンが運営する日本最大級の会社口コミサイトです。現役社員や元社員から寄せられた2,000万件以上の口コミをもとに、企業の働き方や給与、社風などを詳細に確認できます。
口コミは8つのカテゴリーに分類され、職場環境や成長性などを多角的に把握可能です。企業のリアルな情報を得ることで、入社後のミスマッチを防ぎたい転職者におすすめです。利用した経験では、Openworkより運営側のチェックや校閲が緩い印象で、自由な書き込みが多いです。
企業をどう評価するか?

OpenWorkの企業評価をするときには、以下の3点です。
- 会社の全体評価が3以上が目安(※画像の①と対応)
- 回答者の数が10~15人以上(※画像の②と対応)
- その他、ご自身が気になる点
画像内②については前述のとおり、まとめて口コミを読まないと信頼性がありません。回答者人数は10人~15人以上必要です。9人以下の場合、全部の意見に類似性・関連性がない限り参考とするのは辞めた方がいいです。
画像内①について、「会社の全体評価が3以上が目安」についてです。私は4ポイント台の企業、3ポイント台の企業、2ポイント台の企業で働いたことがあります。個人的な経験とOpenworkの評価を以下に記載します。
- 4ポイント台の会社
- 4ポイント台の会社は理不尽やつらいことよりも得られることが有り余るほどありました。満足度が高い意見を持つ社員が多かったです。
- 3ポイント台の会社
- 3ポイント台の会社はつらいことと得られることが半分半分な印象です。いい部署、悪い部署が混在していました。
- 2ポイント台の会社
- 2ポイント台の会社は無駄な会議&無駄な業務・サービス残業・理不尽な管理職判断多めなど、無駄な時間が多く、精神が摩耗することが多かったです。他部署の社員に聞いても状況は同じでした。
OpenWorkで掲載されている同じポイントの会社がすべて同じというつもりはありませんが、個人的には、3ポイント以上の企業でないとおすすめはしません。(※あくまで個人の感想です。)
時間がない方におすすめの転職エージェント活用

時間がない方には、転職エージェントを活用することがおすすめです。エージェントは、転職希望者には無料で利用できるサービスであり、企業の内部情報や未公開の求人情報を提供し、自分に合った職場を見つける手助けをしてくれます。
また、エージェントは自分のキャリア目標やスキルを理解し、最適な転職先を提案してくれることがあります。特に、IT業界に強いエージェント、社内SEに特化した求人を出すエージェントは、最新の市場動向や企業情報を提供してくれます。
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まとめ

企業研究は、転職活動において非常に重要なステップです。企業の特徴を理解することで、志望動機を明確にし、選考を有利に進めることができます。
企業研究の準備度合で面接の合否、入社した会社での満足度が決まるといっても過言ではありません。企業研究の重要性や具体的な方法を理解し、自分の転職活動を一歩先に進めましょう。